最近話題のHMBは、トレーニング効果を上げる物質です。しかし、いろいろな噂があることから「本当に痩せるの?」と言った疑いの声も少なくありません。
結論から言うと、正しく摂取をすればHMBは体の中で活躍します。筋力量を上げるための大切な栄養素です。筋力が上がり、適切な食事を心がければダイエットは成功します。ただしHMBの効果を知り正しく摂取することが大切です。
そこで今回は「あなたが知らないHMBと知られざる効果」を解説します。「hmbは痩せない?」と勘違いをしている人は参考にしてください。
HMBとは?
HMBの正式名称は、「β-Hydroxy-β-MethylButyrate(βヒドロキシβメチル酪酸)」です。英語表記の頭文字を取りHMBと呼ばれています。HMBは必須アミノ酸である「パリン」「ロイシン」「イソロイシン」の総称です。HMBはサプリメントの呼び方で有名になりました。
必須アミノ酸は、筋肉のエネルギー源となる栄養素ですが、体内では合成されず食べ物やサプリメントから補給しなければいけません。HMBを体内に取り入れることで筋肥大の要と言われている「ロイシン」を筋肉や肝臓で代謝により合成します。
ダイエットに必要なのは筋肉、筋肉を効率良く大きくするためにはロイシンが必要です。つまりHMBはダイエットに欠かせない物質、痩せないわけではありません。
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HMBの種類
HMBサプリメントには次の2種類があり、吸収される速度が異なります。
- HMBカルシウム:摂取後2時間程度で吸収される
- HMB遊離酸:摂取後30分程度で吸収される
HMBカルシウムが現在の主流です。多くのサプリメントがHMBカルシウムを使用しています。製造がしやすく安価なのがポイントです。HMB遊離酸よりも血中濃度のピークが遅いため就寝前の摂取に向いています。
HMB遊離酸は製品数が圧倒的に少なく高額です。HMBカルシウムよりも吸収が早いので運動後の摂取に向いています。
HMBの摂取量
スポーツや運動のためでなければ、HMBの1日当たりの必要量は3gです。しかし、体内での生成量は1日に0.3g程度、まったく足りません。食べ物によって取り入れたロイシンは約5%しか変換されないことから、食事で十分な摂取をする場合には次の量が必要です。
次の量が必要
- 卵:約50個
- 豚ヒレ肉:約1キロ
- チーズ:約1.3キロ
ロイシンの摂取を優先し上記の量を食べれば確実にカロリーオーバーです。また他の栄養素が不足しダイエットは成功しません。そのためサプリメントが活躍します。
ただし、一度に摂取をすると尿で排出されます。HMBは回数をわけることで確実に体へ吸収させなければいけません。
HMBの取り方
HMBの取り方は数回に分けてサプリメントで取るのが有効です。ただし摂取するときは次の点に注意をしましょう。
ココに注意
- 摂取時間の間隔は2~3時間程度あける
- タンパク質と一緒に摂取する
- 寝る前は必ず摂取する
HMBは、ある程度の時間を空けないと尿として排出されます。2~3時間程度あけておけば大丈夫ですが、筋肉を作るタンパク質がなければ意味がありません。タンパク質を取り入れたあとHMBを摂取します。理想的な摂取タイミングは次のとおりです。
理想的な摂取タイミング
- 朝食後
- 運動の1~2時間前
- 運動後
- 就寝前
トレーニングの1~2時間前に摂取すると運動中に吸収のピークを迎えます。トレーニング後、プロテインと一緒にHMBを摂取すれば筋肉が作られる状況が体内で整うのです。また筋肉は寝ている間に合成されます。合成に必要な栄養素を準備してから就寝することでダイエットに必要な筋肉を作るのです。栄養素が足りないと合成されず筋分解が起こるかもしれません。
間隔をあけ1日に必要なHMBを摂取しましょう。筋肉を合成させることを意識してください。
HMBの選び方
HMBサプリメントの選び方も重要です。ダイエットは続けることが大切、サプリメントも飲み続けられるものでなければいけません。
ココがポイント
- 飲みやすさ
- 価格
- 他の成分
HMBサプリメントは1日数回に分けて飲みます。何度か飲んでみて続けられないと思えば早い段階で変更しましょう。継続により痩せることができます。
価格も重要です。無理して高額なサプリメントを購入すれば続きません。無理なく購入できるサプリメントを選んでください。
また、HMB以外の成分が含まれたサプリメントもあります。現在飲んでいるサプリメントが一緒にできるかもしれません。他の成分を確認してから決めることも必要です。
大切なのは「継続」です。ダイエットが続けられる選び方を意識してください。
HMBの知られざる効果
HMBは痩せないという噂も耳にしますが勘違いです。HMBの効果を知ることで、ダイエット中に活躍する理由を確認しておきましょう。
筋タンパク質の合成の促進
HMBは、筋タンパク質(筋肉を構成するタンパク質の総称)の合成を促進します。筋肉の成長に必要なのは細胞内にあるmTOR(エムトール)の活性化です。mTORは、細胞内のシグナル伝達を通じ増殖や代謝を調節する酵素、筋肉細胞内でも同じ働きをします。ロイシンにはmTORを活性化させる要因があるのです。
mTORは細胞内の総合的な環境を判断し、成長の制御を行います。無酸素運動を行うとmTORが活性化され、筋肉の増殖が起こるのです。活性化に必要なのがロイシン、十分な量を体内に確保すれば筋肉に影響を与えます。つまりHMBを摂取して無酸素運動をすれば、ダイエットに必要な筋肉が増えやすいというわけです。
筋タンパク質の分解の抑制
筋タンパク質は、合成と分解を繰り返しています。分解は、筋肉が減り腕や足が細くなる状況です。筋肉は合成と分解を繰り返す代謝が、バランスよく行われることで筋肉量を保ちます。
ただダイエット成功させるには良いバランスではなく、筋肉の増加が必要です。無酸素運動により増えた筋肉量で代謝を良くし、エネルギーの消費を高くすることで太りにくい体質をつくりダイエットを成功させます。
しかし体の中では余計なエネルギーを消費させまいと、筋肉を分解し始めるのです。エネルギー消費を普段と同じにすることで、生命を維持させようという体の働きが、増える筋肉を分解します。合成=分解では筋肉は増えません。合成>分解の状態になれば、筋肉量が増えダイエットが成功をするのです。
ココがポイント
HMBには、筋肉の分解を行うユビキチンプロテアソーム系を抑制する働きがあります。筋タンパク質の分解を抑制することで、効率良く筋肉がつくのです。つまり無酸素運動で増えた筋肉を分解しにくくします。
筋肉痛の回復を早める
ダイエットを断念する人の中に、ひどい筋肉痛が原因と話す人もいます。ダイエットを途中で止めると中途半端になり、逆に太りやすい体質になることもあるのです。できれば筋肉痛は抑えたいという人には、HMBが役立ちます。
筋肉痛のメカニズムは解明されていません。ただ無酸素運動で損傷した筋線維が炎症を起こし、刺激物質が発生することで筋膜を刺激し痛むと言われています。筋線維が修復する際に太くなり筋肉が強くなるのですが、その過程で起きる炎症により痛みが伴うのです。HMBには、筋肉繊維の炎症を抑える働きがあります。痛みの原因である炎症を抑えることで、筋肉痛を軽減するのです。
HMBは、つらい筋肉痛に悩んでいる人の助けとなるサプリメントと言えます。
クレアチンの併用で効果がアップ
クレアチンはアミノ酸の一種で、体内で合成され筋肉にも存在をしています。トレーニングの最中、素早くエネルギーをつくりだすサポートをするので、負荷の高いトレーニングもできるようになるのです。より高い負荷を筋肉に与えたあと、HMBが合成と修復を支えます。
クレアチンの主な効果は次のとおりです。
クレアチンの主な効果
- 筋肉量の増加
- 運動量の向上
- 抗炎症作用
クレアチンの摂取により、短距離走のタイムが短縮されたなどの結果が見られています。通常時よりも大きな負荷を与えられることの証明です。高強度の無酸素運動を続けることで、効率良く筋肉量を増やします。
またクレアチンには抗炎症作用があり、トレーニング後のケアに効果的です。研究でもクレアチンとHMBの併用に相加効果が認められたと発表されました。同時に飲むことで何かしらの異変はおきない?と心配される人がいるかもしれませんが、問題ありません。HMBの働きをより高めるのならばクレアチンとの併用がおすすめです。
プロテインの併用で効果がアップ
必要なタンパク質が足りていない人はプロテインで補うことも可能です。プロテインを併用することで効果がさらにアップします。体内にタンパク質が足りなければHMBは排出され飲んでも効果が期待できません。役割の異なるプロテインを摂取することで効果がアップします。
プロテインの主な役割は次のとおりです。
プロテインの主な役割
- 不足したタンパク質の摂取
- パフォーマンスの向上
- 理想の体づくり
食事で十分なタンパク質を摂取できる人には必要ありません。しかし、「仕事」「運動」「食事」をすべてこなすのは大変です。家族により食事のサポートが受けられる人ならば対応できますが、一人では難しいかもしれません。タンパク質があるからこそHMBの効果が期待できるのです。
先ほどのクレアチンと併用をしても問題ありません。「プロテイン」「クレアチン」「HMB」を同時に摂取しても大丈夫です。無酸素運動時に活用することでHMBの効果が十分に発揮されます。
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HMBの注意点
HMBの注意点は「ウソの横行」です。HMBでは痩せないと思われている人もいます。理由は、HMB関連のウソが横行したからです。
ココがダメ
- 飲むだけで痩せる
- プロテイン以上の働き
- 副作用の危険性
上記は根も葉もない言葉ですが、信じている人がいます。HMBサプリメントを販売するときに「飲むだけで痩せる」という宣伝をした業者がありました。今までの解説でわかるとおり、確実にウソの広告です。プロテイン以上の働きも消費者に良く見せるためのウソ、そもそもプロテインとHMBは効果が違います。プロテインが筋肉を作るタンパク質ならば、HMBはスイッチをオンにする働きです。誇大広告が多くの人に不信感を抱かせました。
また機能性表示を撤回する会社が相次いだ過去もあります。撤回されたHMBの商品は7品以上、いずれも誤解を招く説明により撤回されました。厚生労働省より指摘を受けたHMB関連商品はさらに多く存在します。
消費者が厚生労働省からの指摘や機能性表示の撤回と聞きたことで、HMB事態に問題があるのでは?と考えるのは仕方がありません。一部の間では、HMBの機能はウソと言われ、「痩せない」という話につながったのです。もちろん、飲むだけで痩せると言った誇大広告はすべてウソですが、無酸素運動やタンパク質の摂取で筋肉が増え、ダイエット効果が期待できるのは間違いではありません。
他にも、副作用について多くの人が声を上げています。
さらに詳しく
- HMBはハゲる
- HMBは肝臓に副作用がでる
- HMBは女性が飲むと副作用がでる
上記はネット上でも見られる口コミです。ただ、そもそも副作用という言葉が間違えています。HMBはサプリメントであって薬剤ではありません。副作用という言葉が利用される時点で信憑性がなくなります。さらに2013年に開催された国際スポーツ栄養学会でも安全性の高さを述べられました。副作用の事例も見られません。ウソが噂をつくり無い話が出来上がっている状況です。
HMBは痩せないサプリメントではありません。運動と栄養素の摂取をすれば、筋肉の強化に効果があります。筋肉により代謝が上がることでダイエットが成功するのです。ウソの横行に惑わされないよう注意をしましょう。
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まとめ
「hmbは痩せない?あなたが知らないHMBと知られざる効果」を解説しました。HMBだけを摂取しても痩せません。運動や食事をプラスすることで痩せます。最後に知られざる効果をまとめました。
HMBと知られざる効果
- HMBの摂取と無酸素運動でmTORを活性化させ筋肉を増やす
- 無酸素運動で増えた筋肉の分解を防ぐ
- 筋線維で起きる炎症を抑え筋肉痛を和らげる
HMBは痩せないといった口コミも見られますが、上記の効果で筋肉が増えます。増えた筋肉が代謝を良くし、太りにくい体質にするのです。HMBが筋肉の増加をサポートします。
サプリメントは怪しいと思っている人もいるかもしれませんが、HMBの効果を実感している人は多くいるので安心してください。デメリットは購入価格のみです。適度な運動と食事量を間違わなければ、大きな効果が期待できるサプリメントです。